- 木造住宅の場合、いろんな会社、いろんな職人の方が家造りに携わります。その中で、やはり大工さんが、最も家造りに多く関与される方だと思います。現在では通常、1軒の家を建てる間、大工さんは専ら一人で作業される事が多いようです。この大工さんの立場や所属、及びその他職人の方の所属について触れてみたいと思います。
- 一軒家を建てる場合、まずは地鎮祭を行い、地盤調査、基礎工事となります。基礎が出来上がったら、いよいよ棟上げとなります。今の木造―在来軸組工法は、殆どがプレカット工法なので、資材搬入後、一気に屋根まで組み上げます。この際には職人さんが7~8人、及び資材を吊り上げるクレーンが必要です。
- クレーンと運転手さんについては当然ながら、専業の方が来られます。棟上げ時の職人さんについては、工務店の頭数で足りない分は、工務店に日雇いで雇われた方が働かれているのだろうと思います。これは、棟上げが、頭数を増やして1日か2日で終わらせる仕事であり、そのために常雇することは無いと考えられるためです。
- 棟上げ後は、家の内側の工事は大工さん一人で行います。今の家造りはプレカット工法で行われるため、昔ながらの木組みの技法を持った大工さんが減った、あるいは必要無くなったとのサイトや記事も見ますが、それでも柱を組んだ後も、家の中は木工細工が必要な個所がたくさんあります。2階建てなら階段造り、押し入れの棚や水回りの棚の取り付け、靴箱を作ったり、私の家は特注で、リビングに子供が勉強できるスペースも作ってもらいましたが、それも大工さんの自作です。こういう木工細工で大工さんが必要な場面は、まだまだ残されています。
- この大工さん、私の家を建ててくれた大工さんは、いわゆる“一人親方”と呼ばれる立場の方だと思います。工務店の常雇、社員ではなく、個人事業主になると思います。工務店は、「3人の大工さんがいる」と言っていたので、一人の大工さんが1軒の家に、1.5か月を費やすとして、年間では7~8件の家を建てます。この工務店の年間建築棟数は20棟+αなので、計算に合います。この3人の大工さんが全て個人事業主なのかどうかは分かりませんが、大工さんの雇用形態としては、個人事業主、工務店の常雇の2パターンがあります。
- 私の住んでいる地元にも、たくさんの工務店があり、規模も特徴も様々なようですが、工務店によっては、社員が全て施工すると謳っている会社もあります。確かに、自社で雇用し教育を施した方が施工されると言われると、安心感はあります。
- では、個人事業主(一人親方)の大工さんはどうなのか? かけだしの大工さんならともかく、経験を積んだ大工さんなら問題無いのではないか? と思います。個人事業主であるということは、雇用は保証されていないということです。そんな中、仕事を確保し続けるためには、やはり信用を得られるような仕事をし続けなければならない厳しい環境に居るということです。少なくとも社員という立場に胡坐をかける立場にはないのです。なので、社員だから、一人親方だから というのは判断材料にはならないと思います。私の家を建ててくれた大工さんは、口数の少ない職人気質の方で、少し話しかけにくい所はありましたが、信用のおけそうな方でした。
- また、全国区のハウスメーカー、パワービルダーで木造の家を建てる会社について、実際に家を建てるのは、地元の工務店です。これらの会社については、各地方の地場工務店を下請けとして使っており、実際に施工するのは地元の会社となっているようです。地元の工務店に家の建築を依頼するより、ハウスメーカー等に家の建築を依頼した場合には、実際に誰が家を建てているのか? については分かり難くなっているように思います。
- 木造で家を建てる場合、依頼は工務店に行いますが、実際に最も多くの部分を施工されるのは一人の大工さんです。私は工務店に依頼し、私の家を施工してくれる大工さんを紹介してもらい挨拶させて頂きました。せっかく建てる家ですから、最も家造りに尽力してくれる大工さんには挨拶をしておくべきだし、その大工さんがどんな立場の人なのかも、知っておきたい事だと思いましたので、ここで紹介した次第です。