考え方 構造・工法

「欠陥住宅になる原因を考えてみた」

考え方

「住宅産業はクレーム産業」とは、住宅関連の本に書かれていた言葉ですが、ネットで検索しても多数のページが出てきます。ただ残念ながら、書かれている内容は実際の内容とは異なり、違う視点で書かれているものが多いようです。

まあ大手のハウスメーカーなり地方の工務店における実際のクレームやトラブル事例を、企業側が公開することは無いので、実態を把握するのは難しいのですが、国土交通省から指定を受けた、「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」のHPには、相談事例を見ることが出来ます。時間がある限り、この内容に目を通すことで、実態の一部を垣間見ることが出来、そうならないためには必要な知識を得た上で、家造りに望むべきということが感じられると思います。

さて、その欠陥住宅がどういう原因で造られるのか? 家造りの工程から私なりに考えてみました(まあ単なる思い付きなのですが…)。

「設計」

少し前、鉄筋コンクリート造りの大型マンションにて、耐震偽装が問題になりました。この時に、「構造計算」という言葉が出てきました。一般的に建物を建てる際には、主に耐震面のため構造計算をして問題無い事を確認します。

しかし、これは大きな建物の話で、木造住宅においては通常、構造計算がされていない場合が多いようです。私の家も、仕様書類に構造計算書は付されていません。(⇒詳しくは、「四号特例」にて検索してみて下さい)
つまり、設計内容によっては耐震性その他の面で脆弱な家が出来る可能性はあるということなのだと思います。

  • 木造住宅の場合、耐震性を左右する大きな項目は壁量です。窓が大きな家は明るくて魅力的ですが、窓の部分は耐震性はありません。特大の窓が幾つもあるような設計の場合は、耐震性に問題が無いか? 注意が必要かも知れません。
  • 家の設計図を見ると、耐震性を左右する筋交いが何処に入っているかは分かるようになっています。家を建てる前であれば、設計図を見て筋交いを増やしてもらうことは可能です。もし筋交いの量に不安があれば、工務店に事前に相談されてみて下さい。
  • 2階建ての家の場合、1階と2階の部屋の壁の位置が同じ方が耐震性では有利になるはずです。部屋も区切られて部屋数が多く、家の内側の壁が多い方が、耐震性では有利なのだと思います。
  • 家の内側も部屋で階段が吹き抜け構造の場合は、耐震性には不利になるようです。また部屋数が少なく、家の内側に壁が少ないと同様に耐震性では不利になると思います。つまり、どちらかと言えばデザイン優先の家の場合は耐震面では不利になる場合があります。だからダメということではなく、工務店や設計士の方に、よく確認されてから施工されることをお勧め致します。

「屋根の形」

屋根の形はシンプルイズベストです。この考えで行くと、片流れ、切妻がお勧めです。

屋根の大きな役割の1つが雨避けです。逆に大きなリスクが雨漏りとなります。

雨漏りは屋根の構造の変化のある部分で発生しやすく、このため接合部が少ない、構造がシンプルな方が雨漏りし難い構造となります。

屋根の形が複雑だと、形が変化する部分接合部があり、継ぎ目が発生します。この継ぎ目部分の雨仕舞が悪いと漏水、雨漏りの原因となります。つまり屋根の継ぎ目部分をできるだけ少なくする方が、雨漏り対策には有利なのです。

「地盤調査・地盤改良」

家を建てる前、土地の地盤に問題が無いか? 地盤調査を行い確認します。しかし地盤調査自体は法律上は義務化されていません。通常、注文住宅の場合は何も言わなくても工務店側が実施する場合が多いとは思いますが、建売住宅の場合は、実施していない場合もあるかも知れません。

地盤調査の結果、地盤が弱いと診断された場合は地盤改良工事が必要となりますが、この費用は安くありません、及び費用は施主持ちとなりますので、想定外の余計な費用が発生します。それは置いておいて、地盤調査や地盤改良は専門の業者が行うため、恐らくは欠陥につながる不具合は少ないのではないか? と予想します。但し、地盤調査結果は100%の信頼性のある調査ではありませんので、稀に調査結果に問題が無くても、地盤に起因する不具合が起こる可能性は否定は出来ないと思います。

それよりも、建売住宅や中古住宅の場合には、家の施工前に地盤調査や地盤改良がきちんと実施されているか? 確認することをお勧めします。

「基礎」

基礎はその名の通り、住宅の基礎となる部分なので、非常に重要な構造物です。

基礎の施工は、専門業者が行う場合が多いようですが、一部の工務店は自社にて施工します。どちらかと言えば、専門業者の方が安定した作業が期待できるだろうとは予想します。

(私の家の場合は、工務店が自社で基礎も造っています)

基礎の施工における不具合事例は、ネットで多くの記事に説明されていますが、実際に基礎の欠陥により発生した不具合の事例は、見つけることが出来ませんでした。

基礎は家を支える構造物なので、それなりに頑丈に出来ているため、不具合が露見し難いのだろうとは思います。実際には地震等の発生時にその性能が試されるのですが、その時に不具合(欠陥)が分かっても、遅きに失し の感はあります。

1つ事例であったのは、コンクリートは5℃以下では固まらないので、東北、北海道等の寒冷地においては、冬場の基礎の施工には注意が必要だと考えられます。

他、水平が取れているか? は大事なポイントになります。これはビー玉を床面に置いて転がらないか? 確認することで分かります。

「材木」

木造住宅の場合の主材料=材木です。床や壁は合板が主流ですが、柱や梁は無垢材を使用する場合が多いようです。

無垢材の場合、乾燥木材を使うのが一般的です。木材はどうしても時間経過に伴う反りが出るため、一旦乾燥させた木材を使うことにより、反りの発生する程度を抑えるのが目的です。

しかしグリーン材と呼ばれる木材を使う場合もあります。乾燥木材の方が手間を掛けている分、単価は高くなり、逆にグリーン材を使う方が一般的には費用が抑えられるようです。

グリーン材は反りが出やすく、その影響で壁や天井の接合部に隙間が出たり、扉の建付けが悪くなる可能性が高くなります。

但し、乾燥木材を使用していても、木造住宅は時間経過に伴い、わずかなひずみは発生するとのことです。

「(木造)主要骨格(木組み)」

今の木造住宅は、主要骨格である木組みにおける採寸、接合部の加工を全てプレカット工場にて行います。現場では加工された木材を組み上げるだけです。なので基礎への土台設置後、棟上げはほぼ1日で終わります。

このため、主要骨格における欠陥は、設計やプレカットの施工ミスが無ければ、ほぼ無いのではないか? と推察します。不具合が出るのであれば、設計やプレカット時の入力ミス等に起因するものだろうと思います。

「床板施工」

床板の施工は、剛床工法、根太工法とありますが、床板(合板)を土台、あるいは根太に釘で固定していく施工です。施工の難易度もそれほど高くないものと思われ、床板施工における欠陥等の発生は、少ないのではないか? と思います。でも、ネット上には事例があります。

フローリングの場合は、この合板の上に板を貼るのですが、こちらの方はネットで見ても、施工不良の例が散見されます。

「屋根の施工」

住宅品確法により、新築住宅については10年の保証(瑕疵担保責任の義務付け)が付されることになりましたが、この対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の進入を防止する部分です。つまりは基礎、土台、主要骨格、及び雨漏りとなります。

雨漏りの原因箇所は大半が屋根と考えられます。つまり屋根は重要な部分なのです。

屋根の施工は、ルーフィング(雨水侵入防止シート)の正確な施工と屋根材(瓦等)の正確な施工となります。この辺の施工が悪いと、雨漏りの原因となります。つまり施工精度によっては欠陥となりやすい構造部分だろうと思われます。

屋根の施工においても、専門業者による施工の場合と、工務店にて施工する場合があるようです。

「断熱材」

安価で多用されている断熱材としては、グラスウールがあります。他にもいろんな種類の断熱材があり、壁以外にも、小屋裏や床下に施工されています。

ネットで見ると、断熱材の施工不良は比較的多いようです。

断熱材の施工不良により、壁内部の場合は、結露等の発生原因となると書かれてあります。

家を建てた後では、壁内部の断熱材の施工状態は分かりませんが、内壁を貼る前であれば、施工状態の確認が可能です。このため、家の建築時、断熱材の施工状態については必ず確認する方が良いかと思います。

床下や小屋裏(天井裏)については、点検口を設けていれば、家完成後にも状態確認が出来ます。床下の断熱材の剥がれも比較的不具合が多いようにネットには書かれてあります。

「外壁施工」

家の外壁は、サイディング、吹付け等の多様な種類がありますが、一般的には外壁の専門業者が施工する場合が多いと思います。

どのような外壁にせよ、基本的に施工手順が決められています。これを順守していれば、大きな不具合は無いのだろうと思います。しかし実際は手順を順守しないことによる欠陥、不具合があるのが実情のようで、ネットにも幾つも記事を見つけることが出来ます。

  • 防水シートの重なり不足 ⇒ 外壁施工前に目視確認可能
  • 外壁と水切りの隙間不足 ⇒ 施工後に確認可能

等、素人でも確認できるポイントが解説されているサイトがあるので、参考にされてみてください。

専門業者だから必ずしも安心とは言えないので、難しい所もありますが、費用を抑えるため、専門業者ではなく自社(工務店)にて外壁施工する場合もあります。家の建築を請け負う会社の選定時に、「外壁施工はどこの業者がされるのか?」等、確認されることをお勧めします。

「電設、内装(壁紙)、水回り」

これらの工事は、専門業者が施工する場合が殆どだと思います。この辺は、不具合があっても、これらの施工が原因の場合、欠陥住宅そのものとは違うのかも知れません。

水回りは比較的トラブルが起きやすいかも知れませんが、その分補修対応も容易な場合が多いように思います。

「木工工事、建具工事」

この辺は、大工さんの本領発揮の部分だと思います。工務店では1人の大工さん(棟梁)が1軒を受け持つ場合が多いと思います。棟上げ後、大工さんがコツコツと家の壁、内装を造っていきます。

内装は目に見える部分なので、完成時に既に不具合が露見していることは、まず無いと思いますが、建具については建付けの問題があるため、窓、扉の可動部は必ず引渡し時に確認されることをお勧めします。

見える部分は綺麗に仕上げてあっても、見えない部分の仕上げがどうか? で仕事が丁寧なのか雑なのか? 垣間見ることは出来ます。表に出ていない屋根裏や床下、天井裏を見ることで確認可能です。家が完成してからより、やはり建築途中の状態をこまめに観察することの方が大事だと思います。

「防蟻施工」

防蟻工事は、薬剤を家の土台、木の露出部分に噴霧する施工です。

家の建築時に床が入っていない状態であれば、専門業者ではなくても、噴霧器があれば誰でも出来ます。建築後も、床下にもぐりこめるのであれば、やはり誰でも出来ます(もちろん、人体には毒なので、防護メガネやマスクは必ず必要です。

この防蟻施工用の薬剤については、薬効が5年しか持ちません。新築後5年以内に白蟻被害を被る可能性も0ではありませんが、防蟻工事の施工不良による被害は、新築時にはそれほど心配しなくても良いのかも知れません。

「考えてみたのですが…」

欠陥住宅になりやすい状況なりを、建築工程に分けて考えてみたら、欠陥住宅の発生予防が出来ないか? と思ったのですが… なかなかポイントなりヒントを見つけ出すことは出来ませんでした… 何故か? 結局、家造りには多くの人、業者が関わります。そしてミスや欠陥は、残念ながら人が生み出すものであるため、施工するその人次第の面があるためです。

基本的に、家の建築を依頼する業者(工務店)については、初取引の場合が殆どだと思います。当然に慎重に相手を選ぶのはもちろんですが、契約した後でも、疑問点は徹底的に惜しまず質問し、納得の出来る答えを求めるべきであり、建築工事中はこまめに見に行く必要があります。相手を信用し任せる事は、仕事においては大事ですが、家造りにおいては、その考えは通用しません。しっかりと確認することで後悔を減らす事が出来るのだと思います。

自分の経験としては、会社員である以上、家の建築工程は休日にしか見ることが出来ません。でも1週間は確認間隔としては間が空きすぎます。出来れば週に2回以上、家族に協力してもらい、見に行くことをお勧めします。やはり、家造りについて興味を持って学び、調べ、質問し、確認し、観察する、これらの労を惜しまないことでしか、欠陥住宅に出くわす可能性を減らすことは出来ないのだと思います。

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