構造・工法家の仕様

築40年 実家の家について

構造・工法

私の実家は福岡の田舎町にあります。父は公務員で、母は私が幼稚園の頃からセールスの仕事で働き始めました。私が小学校の時に住んでいたアパートは6畳と4畳半の二間しかなく、家族4人の布団を敷いたら、もう足の踏み場も無いくらい狭い部屋でした。いつか大きな家に住みたいと、両親は早い段階で土地だけ購入し、コツコツと貯金していたようです。そうして建てた家なので、両親にとっては(特に母親にとっては)思入れのある家なんだろうなあと思います。実家の家は築40年になります。40年経過した家について、経年変化を見てみました。

(実家 外観)

「実家の設計について」

  • 家の間取りや詳細については、全て母が考えていたのを覚えています。もちろん、設計技術等があるわけではありませんが、間取りについては母親が一生懸命考えていました。
  • 当時はパソコンなんかありませんので、ひたすら方眼紙に定規で線を引いて間取り図面を作っていました。私は未だ小学生だったのですが、もう何度も書き換えていたのを覚えています。
  • 家の構造についても、「土壁にしよう」とか、「屋根はやっぱり入母屋が良い」とか。なので土壁、入母屋、切妻等の単語については、私は小学生の頃から知っていたことになります。
  • 実家の家は、木造、在来軸組工法の家です。昔の本間サイズ、今のメーターモジュールで建てており、「大きな家に住みたい」との希望を有言実行?し、延べ床面積で50坪以上あります。私が建てた家よりは、明らかに大きいです。
  • 昔建てた家なので、棟上げ時には餅まきをし、家が建つまでに1年弱を要したようです。土壁なので、壁を施工してから乾かすまでに時間を要したというのもあります。
  • 屋根は結局、入母屋屋根は値が張るため、切妻で妥協したようです。基礎はベタ基礎で、外壁は一部が漆喰、以外は木目の合板のようなものを貼っていました。外壁も焼杉が云々と言っていましたが、何かの理由で焼杉の外壁は施工しなかったようです。
  • 外構についてはブロック塀だけ作り、数年後に塀も塗り壁仕様にしました。
  • 幼いころに、そういう母親の姿を見ていたためでしょうか? 私も家を建てる時には、出来るだけ仕様について調べてから家を建てました。

「実家の経年劣化(屋根)」

  • 実家の屋根は、瓦屋根です。昔ながらの波を打った形状の屋根で、台風で飛ばないように金物で瓦止め施工がしてあります。
  • 3年ほど前だったので、築38年ほど経過しています。1階部分の屋根、のし瓦の一部がズレて、漆喰と思われる充填物も落ちていました。とりあえず、シリコンコーキング剤を充填して補強しています。
  • 瓦屋根自体は40年経過しても全く外観上、問題ありませんが、のし瓦の部分については、経年劣化があります。ちなみに、雨漏りは今のところ全く発生していません。
  • 現在の瓦屋根は、防災瓦が主流で、風の抵抗を少なくするため、その形状は平板状のものが多く、棟の部分の上には、冠瓦のみ施工し、のし瓦は載せない屋根が多くなっています。なので、昔の瓦屋根の方が貫録があり、今の瓦屋根はスッキリとした外観となっています。
  • 瓦屋根については、恐らく棟の部分等、のし瓦の部分が経年劣化が起こりやすいように思われます。
(参考画像 近所の家の屋根 棟部分にのし瓦)

「実家の経年劣化(床)」

  • 家の床は無垢板、合板いずれも使用しています。廊下、畳の間の下板は無垢板。以外の洋室仕上げの床板は合板だと思います。
  • 洋室仕上げの居間、寝室の床については、腐ってしまい張り替えています。これも築37年くらいでの張り替えでしょうか? まあこの主な原因は、床下換気口の周りに物を置いてしまい、換気が不十分なのが原因ではないかと思います。
  • ちなみに、シロアリの食害によるものではありません。40年ほど前の家については、実は今よりもシロアリの食害には強い家が多いとのこと。これは、昔使用されていた防蟻工事の薬剤が強力なのが理由。今のシロアリ駆除剤は、5年ごとに再施工が必要で、薬効が5年しか持ちませんが、昔の駆除剤は、恐らくヒ素が入っているためか、もうかなりの年数の薬効があるようです。この薬の復活を待ち望んでいるのは私だけでしょうか?
  • いずれにしろ、1Fの床については、床下換気が大事だと思われ、家の周り、特に換気口付近は塞がないことが肝要に思います。

「実家の内壁、家の内側の経年劣化」

  • 家の内側、塗り壁の部分は少し剥げかかっている所もありますが、欠損しているわけではなく、まあ風情の範囲だと思います。
  • 以外の内壁は化粧板が貼られていますが、こちらは40年経過しても特に異常は見当たりません。風雨にさらされないので、家の外側の劣化よりは状態が良いようです。
  • 家の建具については、戸車やレールの交換はしましたが、建具自体も殆どは建てた時と同じものです(炊事場の戸だけ破損により交換)。建具はすべて木製のものですが、全く問題ない状態を維持しています。まあ、部分的には日焼け等による色落ちはありますが。
  • この家の建具、戸や引き戸については、昔のものの方が軽く出来ています。今の家の戸や引き戸の方が作りが重たくなっています。扉を外して持ってみると、恐らく重量的には倍近くの差があるのでは? と思うくらいに差があります。良し悪しは分かりませんが、どちらも一長一短があるように思います。軽い方が家や金具への負担が少なく、重たい方が質感が高くなります。
  • 引き戸の場合、戸車が不調時等の場合には扉を外して調整が必要ですが、その時は扉が以外と重たいので、ご留意ください。私も、自分の家の引き戸を外した際、その重さにびっくりしましたので。
(塗り壁の内壁)

「実家の経年劣化(漆喰壁)」

  • 実家の外壁の一部、窓の上の部分と玄関部分の壁は漆喰塗りだと思います。
  • この漆喰塗りの部分については、殆ど劣化が無く、きれいな外観を維持しています。
  • 漆喰の外壁にもいくつか種類があるようですが、実家の壁がどの仕様なのかまでは分かりません。ただ、長期間の耐久性があるとの通り、確かに40年経過後も、その外観が維持されているようでした。
  • 私も家を建てる時に、漆喰壁が良いなあと思ったのですが、最近では施工している工務店も少なく、職人の腕に左右される面や、施工費用が高いとのネット情報もあり、漆喰壁を採用出来ませんでした。近所に漆喰壁を標榜する工務店があれば、考えたかも知れません。
(白い壁部分が漆喰塗り)
(漆喰壁 近接)

「実家の経年劣化(外壁)」

  • 私の実家は、建てられた時には外壁材は木目調のものが貼られていました。今回実家に帰省して壁を見たら、以前は木質系のものが貼ってあったのですが、外観上似ていたのでこれまで気付かなかったのですが、良く見たら木目調の金属パネルが貼ってありました。
  • 恐らく昔はサイディングという名前ではなかったでしょうが、昔外壁に使用されていたのは、木質系のサイディングだったのだろうと思います。これは損傷がひどくなり、数年前にリフォームして外壁をやり替えているようです。つまり外壁については、40年の耐久性がなかったということになります。
  • 私も家を建てる時に外壁材を悩み、ポリマパネルを選択しましたが、現代の家においても、耐久性の高い外壁材が無く、家の建築において、外壁材の選択が一番難しいなあと思います。
  • 実家の外壁、リフォーム後は木目調の金属サイディング(縦張り)になりました。実家の家を、あと何年使用するか分かりませんが、末永く維持されることを期待しています。
(張り替え後の外壁(金属サイディング))

「番外編 床下換気口」

  • 別の記事にも記載しましたが、今の家の床下換気の方法は、土台パッキン工法が主流ですが、昔ながらの床下換気口を基礎部分に作る工務店もあります。実家の隣に数年前に新築された家も、基礎部分に床下換気口が取り付けられています。
  • この床下換気口、昔のものは、縦にスリットが入ったブロックが入れられていただけでしたが、今はステンレスのメッシュカバーが付けられています。恐らく虫やゴミ、ネズミ等の小動物が入らないためのものと思われます。
  • 土台パッキン工法と、昔ながらの床下換気口、どちらが良いのかは分かりませんが、床下換気口は、それがそこにあるのが分かりやすいというのが良いところなのかも知れません。土台パッキン工法の場合、換気の隙間は外からは見えないので。
(床下換気口)

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