構造・工法

10.「在来軸組工法 各部分の工法について」

構造・工法

日本古来からの木造建築の流れをくむ在来軸組工法は、使用する木材やその他材料の変化と共に、幾つかの工法があるようです。私は素人なので、どの工法が優れているのか等のことは分かりませんが、家づくりにおいて、自分の家はどんな工法で作られているのか? 知っておくことは大事なことと思います。各工法の詳細は、専門の業者さんの解説するサイトや記事を見て頂いて調べて頂ければと思います。ここでは、どんな工法があるのか? 列記してみたいと思います。

家の骨格作り(プレカット工法と在来(手組)工法)

「プレカット工法」

  • 現在の木造、在来軸組工法においては、95%以上がプレカット工法にて建築されているとのことです。元来、木造の家造りは、柱材の寸法を測り必要な長さに切断し、ほぞ穴を開け、ほぞ加工を行い、これを組み合わせながら組み立てていく工法であり、大工さんが1つ1つ木を読み、加工しながら作っていたものです。
  • プレカット工法は、その家を建てるのに必要な木材について、プレカット工場において、カット、ほぞ穴開け、ほぞ加工等、ほぼ自動でコンピューター制御された機械にて実施します。これは、家の設計図データをプレカット工場のコンピューターが読み込み、木材の加工設計を自動で算出してしまうことにより成り立っています。
  • プレカット工場にてプレカットされた木材は、家づくりの現場に運ばれた後、1~2日で棟上げの状態まで組み上げてしまいます。つまり現場では組み上げていくだけになります。これにより、工期、それに伴う人件費が抑えられるのが特徴です。
  • 別の記事にも書きましたが、プレカット工法のメリットは、工期の短縮以外に、職人の腕の差による品質への影響を受けない事です。このため、設計図面に問題無ければ、家の骨格については、大手も小さな工務店でも、家の品質差はあまり無いのではないか? と思います。
  • 私も、自分の家と隣の家の棟上げを一部見ていましたが、まあもうアッという間に屋根までの木材が組みあがってしまいます。
  • ちなみに、「現場では組み上げるだけ」と言っても、家造りに必要な木材は、かなりの数があります。どの木材がどの部分の木材としてプレカット加工されているのか? 迷わないのでしょうか? 実は、全ての木材には、施工主名なり、家のどの部分の木材なのか?を印刷してあるのです(恐らくインクジェットプリンターで印刷されている)。設計図面にはすべての木材に番号が振ってあります。木材には、その番号が記載されているのです。なので、工務店の大工さん、職人さんは、迷わずに組み付けることが出来るようになっています。

「手組み(工法)」

  • いわゆる昔ながらの職人、大工さんの仕事による家造りの工法です。冒頭に書いた通り、製材された木材について、寸法を出し、カットして、ほぞ穴開け、ほぞ加工等を行い、木組みの技法を駆使して、家造りを行う工法です。
  • プレカット工法の場合、1~2日で棟上げしてしまいますが、手組みの場合は、基礎作りの終わった家の棟上げまでに1~2か月以上を要するはずです。
  • ちなみに、私の家は棟上げから2カ月ほどで完成しましたが、私の実家の家、昔ながらの手組み工法にて40年前に建てた家は、ほぼ1年近くを要しています。壁を土壁とし、土を塗る、乾かすために時間を要したこともありますが、それでも工期の差は歴然です。
  • 残念ながら、今では手組みで家を建てられる大工さんが希少な存在となっているようで、手組み工法で建てる場合、対応可能な大工さんを探す方が大変なのかも知れません。ただ、伝統の日本古来の工法でもあり、技術としては伝承される必要があります。

「金物工法」

  • プレカット工法も、補強材として金具での接合を行います。このため、金物工法との厳密な区分けは難しいのですが、プレカット工法に使用する金具は、接合部の外側に釘や木ねじで接合するのに対し、金物工法については、接合部内部に金具が入り、ボルトで固定する工法となります。
  • 金物工法を紹介しているサイトでは、構造強度が数値化できるのがメリットとされています。

床下換気工法「土台パッキン工法」

  • 木造家屋の場合、床下の換気は、防蟻(シロアリ危害の予防)、木材の腐食防止のために重要となります。
  • 現在の木造家屋の場合、基礎は布基礎とベタ基礎がありますが、ベタ基礎を採用する方が圧倒的に多くなっています。これは、ベタ基礎の方が地盤の若干の変化に対し強い事と、シロアリ危害に強いためです。
  • 床下換気の面で見た場合は、いずれの基礎においても、床下換気用に一工夫が必要となります。
  • 従前の床下換気工法は、基礎の一部にスリットが入ったブロックを入れ、このスリット部分から換気する様になっていました。換気口の大きさは300cm²以上で間隔は5m以内に1ヶ所儲けることが建築基準法で定められています。1区画に2ヶ所、対角線上に配置して床下に満遍なく空気が流れようにします。
  • 現在主流の床下換気工法は、土台パッキン工法です。これは、基礎と土台(土台となる木材)の間に、20mmほとの厚みのパッキンを挟む仕様となっています。パッキンとパッキンの間に隙間があるため、この部分から床下を換気する仕組みで、開口面積、割合は従前の工法より広く取れるようになっているようです。
  • この土台パッキンも、パッキン間に隙間を作る工法と、パッキン自体がスリット状になっていて、パッキンを敷き詰める工法があるようです。
  • 従前の工法に比べた土台パッキン工法のメリットは、施工が簡単であること、開口度が高く換気性能が向上していること、及び土台と基礎が直接接していないので、土台の木材が腐食し難い事が挙げられています。
  • デメリットとして他のサイトに記載されている事として、①パッキンが部分的に置かれているので、地震時の強度(⇒従前の床下換気も基礎の一部に開口部を開けるので、比較の意味ではデメリットではなさそうだが)、②パッキン自体の耐久性、③実際には雨よけのスカートが壁に施工されるので、期待ほどの通気性が無い? 等の記載があります。まあ、私はあまり心配していないのですが。
(基礎パッキン(城東テクノHPより))

床下換気工法「以外の換気工法」

  • 換気工法ではなく、「換気をしない密閉構造」を謳っている会社もあります。ユニバーサルホームという会社は、中途半端な換気は無意味との考えより、土台部分までを金属とコンクリートで作り、床下部分には砂利を入れ換気をしない家造りをされているようです。私は徒歩で通勤していますが、通勤途中にユニバーサルホームが建てた家があります。朝の通勤時に見ていただけですが、確かに基礎部分の内側には砂利が入っており、「変わった工法だなあ」と思いネットで調べたら、HPにも説明がされていました。
  • これも換気工法とは異なるかも知れませんが、強制換気(いわゆる電動ファンによる換気)の方が望ましいとしているサイトもあります。また、大手のPanasonicや三菱電機が、普通に床下用換気扇を製造販売している事から見ても、一定の需要があると推察されます。絶対的に強制換気の方が自然換気よりは換気量が多くなるので、床下換気の面で見ればメリットが高いこととなります。デメリットはランニングコストがかかるということでしょうか。
  • 現在主流の土台パッキン工法の前は、基礎の一部に四角い穴を開け、スリットが入ったブロックや金属製のスリットを入れて換気口を作っていました。この工法の場合は、基礎のどの部分にどのくらいの大きさの換気口を設置するか? 建築基準法で決められているようで、基本的には家の四方、どの方向にも設置されているはずです。この換気口の場合は、換気口の前を塞がないように、物などを置かないようにする必要があります。現在でも、この換気口を設置する方法で基礎を作っている工務店もあります。

床 「根太工法」

  • 「根太(ねだ)工法とは、床下地合板 厚み12㎜を受けるために、幅45mm高さ60mmの部材(根太)をピッチ303mm毎に設ける床組みです(住宅サポート建築研究所HPより)。」
  • 根太工法の場合、床板の厚みは12mm~となっています。
  • 根太工法は現在でも用いられる工法ですが、最近では剛床工法を採用されている工務店の方が圧倒的に多いようです。

床 「剛床工法」

  • 「剛床工法とは、根太を設けず床下地合板の厚みを厚くして、直接梁材に留め付ける床組みで、根太工法に比べ地震や台風時に発生する水平力に対して強く、火打ち梁を省く事が出来ます。別名、根太レス工法とも言います(住宅サポート建築研究所HPより)。」
  • 根太工法に比べ施工性が良く、剛性が高いので最近では、剛床工法(根太レス工法)が主流となってきました。
  • 剛床工法に用いる床板は、24~28mmの厚みのある板を用います。2×4の壁式工法ではありませんが、床板を厚くすることで水平方向の強度を持たせることにより、根太を不要としています。
  • どちらの工法も一長一短があるようです。気になる方は、詳しく解説されているサイトをご参照下さい。事前に調べておくことで、気になる点を工務店に事前に相談することが可能になりますので。
  • 床については、どちらの工法を選ぶにしろ、工法自体の選択肢は2つしか無く、どちらも実績のある工法なので、工法の選択で後で後悔することは無いと思います。それよりも、防音性なり、重量物を置く置き場所等の注意等について留意しておく必要があるように思います。

壁(サイディングの場合)「外壁通気工法」

  • 「木造住宅の外壁の中は、室内からの湿気が入り込んだり、あるいは断熱材の欠損があると壁内結露(内部結露)を起こす可能性が高いとされています。事実、今までの軸組工法や2X4工法でも寒冷地を中心として、壁内の湿気による結露やカビが発生する事故が過去に多く報告されています。この壁体内結露は、結露によって壁内の木材が腐って建物の耐久性を低下させたり、表面的には室内側の石膏ボードの裏面からカビが発生し、どす黒いカビとなって視認出来るほどのカビが発生し、室内環境そのものも不衛生な状態となっていきます。このような状態を改善するために壁体内の湿気を外部に放出する手段として『外壁通気工法』という方法が開発されてきました。この方法は、壁体内の湿気を透湿防水シートという材料で壁を覆い、外壁材との間に外気が流れる層をつくることによって、壁内の湿気を透湿防水シートから通気層を通して外部に放出する方法です。 この工法のメリットは、壁体内結露を少なくすることが出来る事にあり、 その結果、建物の耐久性が向上することになります。」(住まいの水先案内人 HPより) 
  • 外壁通気工法については、柱の外側に透湿防水フィルムを貼り、その外側に通気を確保するため、胴縁と呼ばれる板を等間隔で張り付け、この上に外壁材(主にサイディング)を引っ掛ける工法です。胴縁の厚みの分、空気が入る隙間が確保されており、壁内の湿気は、透湿フィルムを通して外に出る仕組みとなっています。

壁(サイディングの場合)「直貼り工法」

  • 「 直貼工法は日本で長年用いられてきた工法であり、柱の外側に防水紙を張って、そこに外壁材を直接張り付ける工法です。この場合は、外壁はぴったり柱にくっついていて壁内に隙間はありません。」(Office Chanp 公式ブログより)
  • いずれの工法も、外壁材としてサイディングを使用する場合の工法、構造となっています。塗り壁の場合は、壁の構造が異なります。
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