内容説明として、「マイホーム探し初心者が知っておきたい不動産の知識」と書かれてあります。物件のリスクについて書かれた本です。家づくりに関する多岐に渡る内容が記載されている本にて、家づくり初心者の方に、「心してかからなければ失敗する」という事を分からせてくれる本だと思います。ここに書いたのは、本の中で私が特に気になった点ですが、他にも役立つ知識が書かれており、一度手に取ってのご一読をお勧め致します。
また、筆者は土地家屋調査士の方です。この立場の方の著書は珍しい? ように思います。
- 「買ってはいけない家と土地」 発行所 自由国民社
- 高橋 輝 著(土地家屋調査士)
- 2019年10月7日 初版 第8刷発行
「不動産営業マンの頭の中」
- 不動産の営業マンは客をどう見ているか? ヒヤリングシート等により確認した、客の勤務先、貯蓄額、年収等で客の優先順位を決めている。①有望な客―積極的に契約を取りに行く、②普通の客―もしかしたら購入してくれる可能性があり、連絡を取って、少しずつ買う気に持って行く、③後回しの客―そもそも(収入面より)マイホーム購入が難しいので後回し
「不動産営業マンの常套句」
- 「増税前に買わないと損ですよ!」 → 確かに消費税率が上がると新築の建物代金の税額は増える。但し土地は非課税。中古物件で売り主が個人の場合も消費税はかからない。増税になると不動産売買が少なくなることを考慮して減税や給付金等の対策が手厚くなる傾向にある。税率が上がるからといってマイホーム購入を急ぐ必要は無い。
- 専門家によっては、景気の悪い時に家を購入している。その理由として、①金利が安い、②住宅ローン減税等、国の対策が手厚い、③不景気時は職人も暇なので人件費が安い、④使用する鋼材等の値段が安い、⑤一般の人が買い控えているので物件の選択肢が多い こういう事も頭に入れておいて損は無い。
- 「早く決めないと売れてなくなります!」 → 早く決めようと焦っては判断を誤る。売れてしまったら縁が無かったと考え、納得できるまで検討する方が良い。また、物件の相場感覚を培っておくことは大事、これは多くの物件を見ることで培われる。本当によい物件は、ネットに掲載される前に不動産屋が見込み客に先に案内してしまうため、すぐに売れることも多い。良い物件が出たらすぐに連絡をくれるような不動産屋と上手く付き合うことも大事。
- 「金利が上がる=景気が良くなる時! 給料も上がるのでローン支払いに有利」 → 何の根拠もありません。
- 「家賃はムダ、買えば資産になるのにもったいない」 → 資産になるのは住宅ローン完済時。途中で売却すれば、資産どころか負債になる可能性もある。そもそも、「持ち家 VS 賃貸物件」を比較するのに意味は無い。それぞれメリット、デメリットがある。まずは、本当に欲しい物件なのか? 手の届く範囲の物件なのかを冷静に考える必要がある。
「営業マンの販売手法」
- 客の予算から、案内する物件を3つほど考えておく。例えば客から聞いた予算が3,300万円だったとする。まずは売れ残り物件を案内する。新築一戸建てだが、裏にドブ川が接していて、交通の便もあまり良くない。物件価格は3,180万。客の反応は「駅から遠い、裏がドブ川」。この反応は想定内であり、この物件は「捨石物件」、つまり元々売れると思っていない物件。
- なぜ、買わないと思われる物件に案内するのか? それは、「この予算だとこれぐらいの物件しか買えない」と認識させるため。嫌悪施設、日当たり、交通の便のどれかを我慢しなければ、この予算でこのエリアでは理想のマイホームは無いと認識してもらうため。
- 次に案内するのは3,800万円の物件。予算より500万円もオーバーしている。先の物件と比べて嫌悪施設等も無く日当たりも良好。客の反応も「高いけどいいわね、でも予算オーバーだから無理」ということになる。
- 最後は3,400万円の物件。先ほどより見劣りはするが、近くに嫌悪施設などはなく、駅からも徒歩15分ほど。最初の物件でがっかりしていた所に、ちょっと頑張れば良い家が手に入ると客は思うようになる。心理的なことだが、このように物件を紹介していくと、購買意欲が増す客が多いのも事実。
- 不動産の営業マンは、客が提示する予算は少し低めに申告していると考えている。本当に物件を気に入れば、100万円ぐらい多く出せる余裕があると考えている。
- 申告された予算よりかなりオーバーしている2件目の物件(3,800万円)を案内した理由は? これは親からの資金援助があるかもしれないから。このように営業マンは物件を売るために心理作戦も駆使して契約までをイメージしている。
- マイホームの購入理由は、夫と妻で違いがある。夫の意見の多くは、将来的な資産形成、将来設計を重視。これに対し妻の方は、家への憧れを抱いている場合が多い。営業マンとしては、妻の方をその気にさせた方が購入確立が高い。このため妻の購買意欲に火を点ける。
- 筆者の経験より、殆どの客は建物にしか目を向けていない。しかし建っている土地の価値も見極めることが大事。建物の資産価値は年数が経つと下がる。売却時には土地の値段だけになることを頭に入れて物件を選ぶ必要がある。
「重要事項説明書は事前に入手を」
- 重要事項説明と契約締結を同じ日に行う不動産業者が多い。重要事項説明書の内容は購入物件の内容を記載したものであり、購入者にとって重要な記載が多く書かれている。しかし難しい言葉の連続で、内容が分からないまま署名、捺印しているのが実情。
- 重要事項説明書に記載されていた事項で起きたトラブルについては、一概に不動産業者だけが悪いというわけでもなく、買う方の知識不足もあると考えられる。
- 契約書や重要事項説明書に書いてある内容は、理解した上で契約に望むべき。そのためにも契約書や重要事項説明書は、契約する数日前までには手元に取り寄せ、事前に質問内容をピックアップしておき、宅建士が説明している時に質問し、明確に理解しておくべき。
「住宅ローン」
- マイホームを「買う」という申し込みをして契約しても、実際に買えるかどうかはまだ分からない。現金で買える人は少ないので、殆どの人は住宅ローンを組むことになるため。ローンを組むには金融機関の審査があり、審査に落ちると買うことが出来ない。
- 住宅ローンの審査は金融機関が行うが、審査基準は金融機関により異なる。基本的には、貯蓄額、勤務先、勤続年数、年収、年齢、健康状態、借入額、クレジットカードの事故履歴等が判断材料とされる。特にクレジットカードを多数所有している人は、全てのカードの限度額を見られるので、あまり使用していないカードは解約しておくべき。
- 近年では携帯電話の端末の分割支払い、奨学金も審査に加える金融機関もある。現状、審査は5~10%の人が落とされている。このため、狙っていた物件が売れてしまった場合でも、20件に1件くらいは白紙になるケースがある。欲しい物件の契約が流れた場合には、すぐに連絡をもらうよう、不動産業者にお願いしておく。
「土地の状態を確認する方法」
- 購入したい土地の安全性について、まずは自治体が作成しているハザードマップを確認し、自然災害の影響を確認する必要がある。
- 埋め立て地や池、沼、田など、地盤が緩い土地は多く存在する。その土地のかつての状態を調べる方法の1つが、古地図。古地図から過去の土地の利用形態を確認する。「迅速地図」という古地図がある。これは明治期に作成された簡易な測量地図で、現在の地図と比較するのに便利。古地図は図書館で閲覧、写しを取ったりすることが出来る。
- 他に国土地理院発行の地形図も、広範囲の土地の変遷を確認するには便利。
「騒音、悪臭、水害、通行」
- 騒音や悪臭、水害、通行のしやすさなどは一度くらい現地を見ただけでは分からない。このため、異なる条件の時に3度現地に足を運び、近隣の環境を見る方が良い。そのタイミングとしては、朝、夜、雨の日。
- 朝の時間帯:実際に交通量の多い通勤時間帯に現地を見る。交通量、騒音、排気ガス、周辺住民のゴミの出し方等。小さい子供がいる場合は交通量の多い道路の危険性も確認する。
- 夜の時間帯:近隣住民が騒がしい等、朝、昼とは違う環境を目にする可能性もある。周辺が暗くさびしい道も危険。公園がある場合は、若い人のたまり場になっていないか? 地域によっては自治体のHPにて「犯罪情報マップ」を見ることが出来る。どの場所でどのような犯罪が起きているのか?確認できる。
- 雨の日:雨量が多い日に行ってみると、道路が浸水している土地がある。雨水が溜まる土地は地盤が低く、雨水の処理能力に欠けている可能性がある。
- 土地を探すときにお勧めなのは、隣に住んでいる人に話を聞くこと。「この物件の購入を検討している」と話せば、多くの人が快く話をする。購入したら隣人になると思うと、無下には出来ないため。実際に住んでいる人の情報は貴重。
「近所の嫌悪施設(墓地、ドブ、工場など)」
- 近くに嫌悪施設がある土地は、相場より安く購入できる可能性がある。その施設が気にならなければお得と考えられるものもあるが、人体に影響があるものも存在する。
- 墓地:近隣に墓地がある土地は、相場より土地の価格が安くなる代表例。特に墓地の存在が気にならないなら問題はない。但し、購入する土地が墓地と隣接している場合、お墓の土地所有者が誰なのか? きちんと確認しておく。これは将来、もし土地を売却することになった場合、境界を確定させるために隣地の所有者とコンタクトを取る必要が生じた場合、隣地の所有者が分からない場合、苦労するため。
- ドブ:ドブが近くにある物件も多く存在する。まず考えられるのは臭いの問題。夏季は特に気になるので注意が必要。またボウフラもわきやすく、蚊が多くて苦労する場合もある。
- 工場:気になるのは騒音や大気汚染の問題。土日の内覧会に行った時には気にならなかったので購入し住んでみたら平日は思ったよりうるさかった、土曜日も工場が操業していて休みでもうるさいという話も聞く。また工場周辺は空気が悪い事も多い。また工場跡地の場合には、土壌汚染にも注意。クリーニング店(跡地)も、使用する薬品によっては土壌が汚染されるケースがある。
- 植栽・大木:意外なもので注意しておきたいのは植栽や大きな木。近隣に大きな庭があり、うっそうと植栽や巨木が茂っているような場合。秋になると落ち葉が自宅の敷地内に入ってきて困るという場合がある。掃除が大変だったり、落ち葉で雨どいが詰まる等、近所だから文句も言いにくいし…
「不適格擁壁と盛土」
- 高低差のある土地に設置してある擁壁(ようへき)にも注意が必要。2mを超える擁壁を設置する場合は建築基準法で確認申請を提出することが義務付けられている。しかし法律施工前に造られたもの、確認申請していないもの、検査済証が無い物がある。このようなものを不適格擁壁といい、老朽化したものについては倒壊するなどの危険性がある。
- 現地においては、擁壁にひび割れがないか? 目地の上下のズレはないか? 傾いていないか? たわんでいないか? 目視で確認する。また擁壁には水を逃がすように水抜き穴が設けられている。この水抜き穴がないと排水機能が定価するので倒壊の原因となる。
- 重要事項説明書に擁壁についての記載が無い場合は不動産業者に調査してもらい、確認申請及び検査済証の交付を受けた擁壁なのか確認する。
- また、擁壁が必要な土地の場合、法規制により擁壁を新しく施工、または補強工事を行う、もしくは崖地の部分から何メートル以上離して建物を建築する等の指導が入る可能性もある。この場合、擁壁の作り替えには数百万もかかるケースもある、また崖地部分から距離を取る必要がある場合、建物建築のスペースが不充分となる場合もある。
- 土地の造成方法として、盛土、切土がある。一般的に盛土は切土に比べ地盤は弱いとされ、崖崩れや地滑り等の災害が発生する危険性もある。大規模な盛土については外見では判断が難しいので、自治体によっては、大規模盛土造成地マップを公表している。
「公簿面積・実測面積」
- 公簿面積というのは、登記事項証明書(登記簿)に記載されている面積。実測面積は実際に測量した面積。
- 登記簿の記載された公簿面積が常に正しいわけではなく、実測面積と差異がある場合も多々ある。このため、公簿面積で売買するにはリスクがある。売買する時は、売り主が境界確定測量を行った上で、買主に引き渡すのが、境界トラブルにならずに売却する方法。
- 但し境界確定測量の代金は高額で、期間も数か月かかることから、公簿面積で取引されることもある。土地単価の安い地域では、境界確定測量を行うと売買代金が殆どなくなってしまう物件もあり、不動産業者もケースバイケースで公簿面積による売買と実測面積による売買を使い分けている。
- 購入者が境界に関する書面としてチェックすべきものは、境界確認書と地積測量図。境界標の種類もコンクリート杭、金属標、鋲などいろいろな標識がある。図面で表示されたとおりの境界標が設置されているか、現地で確認する。
「建売住宅事情」
- 建売住宅は、少し前までは殆どおなじような外観、内装、住宅設備も同じものを使い、オリジナリティに欠けるものが多かった。しかし最近では建売住宅でも個性あふれる物件が多く見受けられる。
- 建売住宅の魅力としては、土地と建物をセットで販売しているので予算が立てやすいという点。注意点としては、建売業者が直販している場合は仲介手数料がかからないが、不動産会社等が販売を代理、仲介してる場合は、不動産会社に仲介手数料をしはらわなければならない。仲介手数料は安い金額ではない。物件価格が4,000万なら126万円+消費税となる… 広告やパンフレットには販売形態が「直販」か「仲介」か記載してあるので、必ず確認する。
- 実際に建っている建物を見て購入するかどうか決めることが出来るのも建売住宅のメリット。但し、建物が建つ前から売り出している場合もある。
- 他には、その区画でコミュニティが形成されやすい。みんなが同時期に引っ越してくるのでご近所付き合いがしやすい環境にある。そして販売価格もさほど差が無いので、世帯年収も近い事が多く、家族構成も近い事から子どもを育てやすい環境とも言える。
- 他にも、土地の境界線がきちんと入っているので境界トラブルになりにくいというメリットがある。
- 建売住宅のデメリットの代表は、出来上がったものを買うので、工事の過程を見ることができないこと。また、建売住宅は相応の面積の土地が必要ということもあり、駅からのアクセスという意味では、不便な場所にあることが多い。また、契約済になるまでは一般客が現地案内に入るなど、注文住宅には無いデメリットがある。
- 建売住宅の場合、まだ建物が建っていない更地の状態で購入するケースがある。基本、建売住宅はプランの変更は出来ないが、床材、クロス、浴槽、キッチン、玄関ドア等、お願いすれば変更できる可能性はある。どこまで設備変更が出来るかは施工業者次第だが、希望があるなら聞いてみて損はない。
「建物引き渡し前の検査」
- 建物が完成後、引渡しの前に竣工検査をすることを内覧会という。次の点に注意してチェックする。
- 床・壁:フローリングや畳に傷が付いていないか? また歩いてみて軋む音などがしないか確認する。床が水平かも確認する(水平器、あるいはビー玉をおいてみる等)。クロス(壁紙)にも汚れや傷が付いていないか、クロスに空気が入って浮いている箇所がないか確認する。
- 建具(窓・ドア・ふすま):窓やドア、襖などの建具は実際に何度か開閉してみる。ドアについては開く方向(内開き、外開き)が合っているか確認する。ドアストッパーも設置されているか確認する。収納の戸も開け閉めしてみる。収納内部のクロスの傷なども注意が必要。収納内部は暗い事が多いので懐中電灯を持参しておく。
- 浴室・洗面台・キッチン:水回り設備では一度水を溜めてから流してみる。排水がしっかり出来れば問題無い。キッチンや洗面台の下部の排水管に水漏れが無いか確認する。
- コンセント:照明用のコンセントの種類や個数も確認する。洗濯機や電子レンジ等のコンセントについても確認しておくと便利。以前使用していた照明器具が使えなかったり、買ってきた照明器具がつかないといことが無い様に注意する。
- 外壁・基礎・外構:外壁や基礎については、ひび割れや傷がないか確認する。外構(門扉、塀、カーポート)についても不具合がないか確認する。また境界標も亡失していないか確認する。
- 不具合が見つかった場合は写真に収めておく。補修した後に再度確認する。引渡し前の最終チェックなので、時間をかけて慎重に確認する。
「中古物件の建築年次」
- 中古物件の場合、昭和56年以前の建物かどうか? 建築年次にも注意しておく。昭和56年に建物の耐震基準が改正されている。それ以前の建物の家屋の方が倒壊率が高い。
- 建物の建築年次の調べ方としては、1つは建築確認申請書・確認済証・検査済証。これらの書類は建物建築時に役所に申請、発行されるもので施主(建築主)が持っている。
- 検査済証を見ることが出来ない場合は、建物の登記事項証明書(登記簿)を確認する。登記事項証明書では「原因及び日付欄」に記載がある。但しこの方法も、物件によっては所有者が当期していないこともある。
- 建築確認書類もなく、登記もされていない場合には、役所で「建築台帳記載事項証明書」を取得する。この証明書では受理または発行の年月日が証明されているので、建築確認や工事完了検査を受けているか否かを知ることが出来る。建築台帳記載事項証明書は手数料を払えばだれでも取得することができる。
「事故物件・中古物件」
- 事故物件とは、自然死や自殺、殺人事件があった物件。心理的瑕疵物件とも言われる。こうした物件は、気にしない方であれば、相場より安く物件を購入できることが多い。事故物件は近隣相場より10~50%程度安く売りだされることが多い。
- 当然、不動産業者には契約前に説明義務があり、買主にきちんと告知が必要。近年では事故物件を専門に扱う業者もいる。興味がある方は探してみるという手もある。
- 中古物件の価格、土地については類似する近隣不動産と相違する部分に加減率を乗じて算出する。建物については耐用年数表(国税庁)に記載のとおり、構造別に耐用年数が決められている。木造の場合、耐用年数は22年となっている。このため、お買い得なのは築20年前後の注文住宅となる。
- 中古物件を査定する際に、どの会社で施工されたのか、どのくらいのスペック(床暖房、複層ガラス)なのかはあまり値段に反映されていないのが実情。注文住宅であれ建売住宅であれ、築年数が同じなら値段も大差はない。
- 中古物件の場合、古い建物のリフォーム代は思ったよりかかることが多い。建物の主要構造部(柱、梁、床、屋根)に欠陥がある場合は代金が多くかかる。中古物件の購入を検討するのであれば、第三者であるホームインスペクターの住宅検査を実施するのが望ましい。売り主の理解は必要だが、購入前に見てもらっておけば、安心して購入できる。
「注文住宅の予算」
- 注文住宅の場合、注意が必要なのがトータル金額。マイホームは一生に一度の買い物なので夢が大きく膨らみがち。しかし住宅ローンを支払っていけるのかを冷静に考えるべき。建築会社に予算をたずねられたら、予算を少し抑えて伝えるのが基本。
- 実際に注文住宅を建築した方の大半が、当初予算をオーバーしている。ハウスメーカーの営業マンは、客から聞いた予算額は8割程度と考えている。総額が多くなるほど会社の利益となるため、少しでも多い金額の契約を取りたいと考えている。
- バカにならないのが外構工事費用。(外構工事:ブロック塀、門柱、カーポート等の工事)。外構工事費用だけで100万~200万以上かかる場合がある。
- ホームセキュリティはランニングコストがかかる。これらの事を考慮して、建物にかける予算は、最初は予算の8割くらいで交渉する。
「登記面積が固定資産税の基礎」
- 土地と建物には固定資産税がかかる。建物については法務局で登記された床面積について算出される。このため、設計次第で登記される床面積を減らし節税することが出来る。
- 例えば小屋裏(屋根裏)スペースを収納スペースとする場合、高さが1.5m未満なら床面積に算入されない。
- また、建物の1階部分を車庫とする場合、四方の内、2面が壁に囲まれていなければ、これも床面積に参入されない。
- 物置も、基礎部分を固定しているものは床面積に算入される。
- 銀行の融資は建物面積を参考にしているケースが多いので、建築面積より登記面積が大きく減少すると融資額が少なくなる可能性があるので注意は必要。
- 建物の固定資産税は、建物の仕様により変わる場合がある。新築後しばらくすると役所から固定資産税算出のための家屋調査が来る。固定資産評価基準に記載されている仕様のチェックリストとしては、床材、壁材、屋根、基礎、バルコニー、ユニットバス、洗面器、システムキッチン、床暖房など膨大にある。これらが高価な仕様のものを選んでいると、固定資産税も高くなる傾向にある。(注:自治体によっては家屋調査が無く、登記面積のみの一律税率の所もあります)。
「建築条件付き土地」
- 新築物件を取得する方法は次の3つ。①土地を準備し、注文住宅を建てる、②建売住宅を土地付きで買う、そして③住宅会社と建築請負契約を結ぶことが条件となっている「建築条件付き土地」を買い、建物を建てる。
- 建築条件付きの土地は、請負契約を交わした住宅会社に家を建ててもらうことになるため、意中の建築会社がある場合はお勧めしない。
- ①の注文住宅を建てる場合と比べ、建築条件付き土地を購入するメリットは、土地を探す面倒がない点。注意が必要なのは、建築条件付き土地でも、自由な設計にならないこともある点。
- 建前としては、自由設計という謳い文句で契約するが、実際は数パターンの中から選べるだけというケースもあり、買主とトラブルになるケースがある。建築条件付き土地の場合は、どこまで自分の意向が設計に反映できるのか? この点を十分確認した上で契約した方が良い。
- (これは本に書かれていませんが、建築条件付きの場合、比較見積もりが取れないので、値引き交渉が難しい面もあります)
「子供のための住環境」
- 子供がいる家庭では、マイホーム購入時、学区や周辺環境も気になるはず。住居地がどの学校の通学区域なのかは不動産業者が把握しているので聞いておく。実際、評判の良い学校の通学区域内の物件は、売れるのも早い。
- 周辺環境にも注意が必要。家から学校までの距離、通学路や最寄り駅までの通り道の状況、痴漢や不審者が出没する地域ではないかの確認。また道幅が狭く交通量の多い道を利用する場合も危険。
- 医療施設、図書館、公園、役所、学童クラブなどは近くにあると便利な施設となる。全てをクリアする物件はなかなか無いが、子供にとって良い環境は親にとっても安心できる。
- 周辺環境以外に、行政による子育て支援も比較確認しておく。「行政サービス比較検索」では、気になる地域の行政サービスを比較することが出来る。
コメント