考え方その他情報

「火事・火災への備え」

考え方

私も5年ほど前に戸建て住宅を建てました。改めて時間が経つのは早いなあと思いますが、家を建てた後に気付くこと、考えさせられる事も幾つかあります。

その内の1つが、火事への備えの重要性です。

「家を失う原因」

現実的に家を失う原因としては、天災(地震)、火事が挙げられます。

地震の場合は、家の躯体、構造が地震の振動に耐えられるかどうか? にて、発生する地震の規模と、家の耐震構造性能により結果が異なります。

地震の場合は、もうその時そうなったら、諦めるしかないという考えではいます。

他方、火事については、家の構造により燃焼しやすさに差はあるとは思いますが、素材自体は燃えない鉄筋コンクリート造りの家であっても、家の中にあるものは燃えるので、やはり火事を免れることは出来ません。これは、マンション等(鉄筋コンクリート造り)でも火災が日常的に発生していることでご理解頂けると思います。

「やっぱり火事が恐い!」

家を建ててから、近所で火事が2件発生しています。いずれも全焼…

1件目は、私の家から道路を挟んで7件先でした。隣家ではなかったので延焼の危険性はありませんでしたが、家の前には消防車が数台来て、かなりの人だかりとなりました。

古い家だったのですが、原因は電気火災だったようです。夜中の火事でした。

もう、すぐ近所の家が燃えているのを初めて見ました。やはり率直に「恐い」と思いました。鎮火し、騒ぎが収まってもしばらく寝付けなかったのを覚えています。

もう1件の火事は、家から100m以上離れている場所でしたが、見通せる場所での火事でしたので、こちらも火災時の炎が間近に感じられる火事でした。

すぐ近所にて2件の全焼火災があると、さすがに火事の恐さが身近に感じられるようになりました。

「住宅用火災報知器」

平成16年に住宅用火災報知器の設置が法律で義務化されました。

設置個所は、寝室と、寝室のある階の階段上部となります。

私の家は7部屋ありますが、居間-キッチン以外の部屋と2階の踊り場に、7台設置されています。

設置の目的は、就寝時の火災発生時、報知器を作動させて逃げ遅れを防ぐためのものです。残念ながら火災が起きた後の人命救助目的の装置のため、誤作動でない限り、火災報知器が作動したら、もう逃げて消防に連絡するのが精一杯なのだろうと思われ、消火活動が出来るか? は難しいのかも知れないです。消火活動と言っても、わが家の場合は、たった2台の消化器しかありませんし…

住宅用火災報知器は一般に、10年毎に更新が必要となっています。

「建てた後に出来る対策(消火器)」

残念ながら、建てた後に出来る設備対策は、あまり無さそうです。やはり防火を念頭に置くならば、家の設計時に設備面も考えておく必要があります。

とりあえずわが家は、消化器を2つ設置しています。1つは2階の踊り場に、1つは階段の途中に置いています。

2階に置いている理由は、子供部屋もあり、2階で過ごす人数×時間が1階より多いためです。

もう1つは階段途中に置いています。まあ、キッチンに置くのが一番なのですが、置き場所が無いのと、キッチンの扉を開ければ、階段が目の前にて、比較的すぐ近くとなるためです。

火事は初期消火が肝要にて、消化器は絶対に置いておくべきものだとは思いますが、住宅に消化器の設置義務はありません。また、家族4人で暮らしていますが、消化器を使った経験のあるのは私だけで、私がいる間は良いのですが、私がいない間の火事に3人が対処できるか? 正直分からない…

「建てた後に出来る対策(消火システム)」

消火器メーカーのモリタ宮田工業から、「消火システム」との名目で、住宅用下方放出型自動消火装置が発売されています。

これは、消火器に熱感知栓が付いており、一定の温度条件下で、栓が開き消火剤を噴霧する装置です。

熱を感知し自動で消火剤を噴霧するので、防火効果の高い装置だとは思います。

HPに価格の記載のあるものは、\40,000となっており金額的にも手の届く範囲のものだと思います。

装置なので、設置工事は必要となります。器用な方なら、自分での取付は可能だと思います。

ネックというか、消火器なので通常の消火器と同じく、更新推奨期間が5年と比較的短いです。

住宅の場合、キッチンへ設置するのが良いと思いますが、この場合、奥様から見たらヘンテコな機械を天井等に設置することへの理解を得るのが難しいのかも知れません…

「住宅用スプリンクラー」

住宅にスプリンクラー? お金持ちじゃあるまいし、ちょっと大げさな? と思われるかも知れません。私も家を建てる時、頭の片隅に“チラッと”だけ思い浮かんだのですが、検討には至りませんでした。

ただ、今考えてみれば、設置しておけば良かったかなと少し思ったりもします。

ネットで「住宅用スプリンクラー」で検索すると、情報が得られます。

構造により大きく2種類に分けられるようです。

  • 「湿式」常時配管内に水が供給されているもの スプリンクラーヘッドの感熱部が熱で溶けることで起動
  • 「乾式」と呼ばれる、通常は配管内には水が供給されておらず、外部に設置したコントローラーが室内の異常(温度や煙)を感知すると、水を供給する方式

があります。

費用的には、湿式の方が安価だと思います。湿式にて木造一般住宅にスプリンクラーヘッド4個設置の場合、工事費用50万円と書かれているサイトもあります。

決して安価ではありませんが、戸建て住宅を建てる際の費用としては、家の滅失を考えたら、価値観次第ですが、金額的に許容範囲内かとは思いました。

「スプリンクラーの設置について」

住宅用スプリンクラー設置のデメリットとしては、誤作動があった場合、家の中が水浸しになってしまう… ということがあるようです。どれくらいの頻度で誤作動が発生しているのか分かりませんが、これはこれで結構なデメリットなのかも知れません。

ただ、スプリンクラーから出てくる水は通常であれば水道水なので、室内の水を排水して乾かせば、復旧は可能だと思います。電化製品は故障するかもしれませんが。

また、水道局から供給されている水道管の直径によっては設置できない場合もあるようです。

また、スプリンクラーヘッドから漏水する場合があり、この場合はヘッドの交換が必要となり費用が10万~20万円かかると書いてあります。

これらのリスクを少なくするには、高性能なタイプのものもあるようですが、その分費用も大きくなるものと思います。

スプリンクラーの設置については、ハードルは高くは無いけど、決して低くも無い様に思いました。自分自身、今もう一度戸建て住宅を建てるとして、スプリンクラーまで設置するか? と聞かれたら、悩むでしょうね。

「(番外編)ドレンチャー設備」

火事への備えについてネットで調べていて、「ドレンチャー設備」というものがあるのを知りました。

火災の場合、自宅から出火しなくても、隣家の出火に伴う延焼という場合があります。延焼を防ぐ一番の方策は、建屋間の距離を取ることですが… 余裕のある敷地面積でも無い場合、隣家との建屋間の距離を取ると、もう居住空間が狭小となるため現実的ではありません。

ドレンチャー設備とは、ごく簡単に言えば、隣家との間の地面に上向きにポンプ加圧式のシャワーヘッド(ドレンチャーヘッド)を複数個設置し、火災発生時には上方に向け勢いよく大量の噴水を上げて水のカーテンを作り、延焼を防ぐ装置です。重要文化財等に設置されていると書かれてあります。

そういう設備があることは勉強になりましたが… さすがに隣家からの延焼防止のために、この装置を付けるのはよほど資金力が無いと、難しいですね。

「やはり予防が肝要」

ここまで、出火した場合の対応について考えてみましたが、デメリットが少なく、確実性のある対策は無いなあというのが実感です。ネットで調べる限り、情報も限られます。

建物火災の出火原因は、消防庁「令和元年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」によると、「こんろ(13.6%)」「たばこ(9.8%)」「電気機器(6.0%)」が多く、「配線器具(5.6%)」「ストーブ(5.3%)」が続きます。

オール電化にすることで、少しリスクは減らせるようです(電気火災も一定割合で発生原因なので、安心というわけではないが)。

用心にこした火災予防は無いのかも知れません。いずれにしろ、火事、火災は身近にある災害であることを認識し、一度はきちんと対策について考えることは大事だと思います。

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