私が宅地建物取引士の試験勉強に取り組んだ中で、土地や家の購入時に知っておいた方が役に立ちそうな情報について、まとめてみました。
「宅地・建物」
宅地:①現在、建物が建っている土地 ②これから建物を建てる目的で取引される土地
建物:屋根と柱(壁)がある工作物
「宅地建物取引士でなければ出来ない仕事」
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書(第35条書面)への記名押印
- 契約書(第37条書面)への記名押印
(宅建業法 第35条、第37条になります)
「不動産業者(宅建業者)との契約の種類」
一般的に土地や建物の売買、賃貸取引を行う際は不動産屋(宅建業者)に依頼しますが、不動産屋との契約には種類があります。
- 媒介(契約):不動産屋が宅地・建物の売り主(買主)から依頼を受けて、買主(売り主)を探す事。
- 代理(契約):不動産屋が当事者に代わって売買契約等を締結すること。
また、媒介契約には3つの種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの契約種類の内容については割愛しますが、もし不動産屋と媒介契約をされる時は、契約の種類なり内容を詳しく教えてもらってください。この辺はインターネットにも情報があります。
「(クーリング・オフ)クーリング・オフ制度」
(“東京都くらしWEB”サイトから抜粋)
クーリング・オフ:契約をした後、消費者に冷静に考え直す時間を与え、一定期間であれば無条件で契約解除ができる制度。
私たちは、毎日食品を買ったりして生活しています。「この100円のジュースをください」という「申込み」に対して、「はい、ありがとうございます」と「承諾」があり、お互いの意思表示が合致すれば、契約は成立します。いったん成立した契約はお互いに守らなければならず、一方的に解除できません。これが契約の原則です。
しかし、事業者が突然訪問してきたり、電話をかけてきたりして不意打ち的に勧誘され、よく考える時間もなく契約させられたような場合まで、「いったん契約したら守らなければならない」という原則のままでは、消費者は非常に不利な立場になります。
このため、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性の高い取引やマルチ商法、内職商法などの複雑な取引については、申込みや契約をした後一定期間消費者が頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に契約を解除することができる制度があります。これをクーリング・オフ制度と言います。契約の原則の例外ですから、すべての取引にこの制度があるわけではなく、法律や約款などに定めがある場合に限られます。自分から店に出向く店舗での購入やカタログやネット画面を見て申込む通信販売は、じっくり考えてから契約を決めることができますので、クーリング・オフの対象外です。
「(クーリング・オフ)不動産売買におけるクーリング・オフ」
契約する場所が重要となります。クーリング・オフは冷静な判断を出来ない場所で契約や申し込みを行ってしまったお客さんを保護するための制度。だから冷静な判断が出来る場所で行った場合には適用されません。
「クーリングオフが出来ない場所」
- (不動産屋の)事務所 ⇒ 不動産屋(の事務所)に行くということは、買う気で行くとみなされるため
- (不動産屋の事務所以外で)継続的に業務を行っている施設(営業所など)
- モデルルーム、モデルハウス
- 買主が自ら申し出た場合の自宅や勤務先 ⇒ 「都合が良いから自宅(勤務先)に来て下さい。」この場合はクーリングオフは出来ない。
「クーリングオフが出来る場所」
- 不動産屋が申し出た場合の買主の自宅や勤務先 ⇒ 「(不動産屋が)〇〇さんの自宅(勤務先)ではどうでしょうか?」と言った場合。
- 買主が自ら申し出た場合の喫茶店やホテルのロビー
- (テント張りの)住宅案内書 ⇒ ゆっくり落ち着いて考えられる環境ではないとみなされるため
「申し込みの場所と契約締結の場所が異なる場合」
クーリング・オフの適用は、“申し込み”の場所で判断します。
(例えば、不動産屋の事務所で購入申し込みを行い、後日喫茶店で契約を結んだ場合、申し込みをした場所で判断され(この場合、不動産屋の事務所)、クーリング・オフは出来ません。)
「クーリング・オフが出来なくなる場合」
- クーリング・オフができる旨、方法を不動産屋から“書面で”告げられた日から起算して8日目を経過した場合。⇒ 口頭で告げられただけの場合には、いつまでもクーリング・オフが出来る。
- 買主が、“宅地・建物の引き渡しを受け”且つ“代金の全額を支払った”場合。⇒ 代金の一部を支払った場合には、クーリング・オフは出来ます。
「クーリング・オフの行い方と効果」
クーリング・オフは必ず“書面で”行う必要があります。
買主が書面を発した時にクーリング・オフの効果が生じます。⇒ 不動産屋に到達した時点ではなく、買主が書面を発した時点で生じます。
適正にクーリング・オフが為された場合には、不動産屋は既に受け取った手付金や代金を全て返却する必要があります。また不動産屋はクーリング・オフに伴う損害賠償や違約金の支払いを請求することは出来ません。
「手付」
手付には、①証約手付、②違約手付、③解約手付 の3種類があります。
民法では、手付の種類は当事者の合意によって決められます。
宅建業法では、手付の種類であっても解約手付とされます。
宅地や建物の取引にかかる法律は、民法と宅建業法、その他があり、民法と宅建業法いずれにも規定がある時は、宅建業法の規定が優先されます。
宅建業法では、不動産屋が売り主となる売買契約においては、手付の額は代金の2割が上限とされており、2割を超える部分は無効となります。
「解約手付」
解約手付による契約の解除が出来るのは、相手方が履行に着手するまでの間です。自分が履行に着手していても、相手方が履行に着手していなければ、解約可能です。
(履行の着手) 売り主の場合・・・物件の引き渡しなど
買主の場合・・・代金、中間金の支払いなど
買主は手付を放棄すれば契約を解除できます。
売り主は手付の“倍額”を償還すれば契約を解除できます。
手付により契約が解除されたときは、損害賠償請求は出来ません。
(ちなみに“債務不履行”による契約解除の場合は、損害賠償請求は出来ます。)
「危険負担」
- 例えば、売り主Aと買主Bで建物の売買契約を締結し、契約後に建物が滅失した場合。建物の滅失原因が売り主Aの故意・過失に原因がある場合は、売り主Aの債務不履行となり、買主Bは契約の解除や損害賠償の請求をすることが出来ます。
- 他方、建物の滅失原因が、天災や第三者による放火等、売り主Aの故意・過失によらない場合、その不利益は売り主Aと買主Bのどちらが負担すべきか? ということが問題になります。これを“危険負担”と言います。⇒ この場合、売り主Aの建物引き渡し債務は消滅します。及び、売り主Aには故意・過失が無いため、売り主Aは債務不履行責任を負いません。
- さて、買主Bの代金支払い債務は? これは原則として消滅しません。つまり買主Bは天災等により目的物が滅失した場合、代金を支払わなければならないのです! ⇒ つまり売買契約成立後、不動産が天災や放火等、売り主Aの故意・過失によらない事由により滅失・損傷した場合には、原則としてその不利益は、買主Bが負担することになります!
- 一般の取引の場合は、目的物が滅失した場合には、買主は代金を支払わなくてよくなります。危険負担の関係(誰の故意・過失もなく目的物が滅失した場合、誰が責任を負うか?)は、原則的には一般の取引の場合(買主Bが代金を支払わなくても良い)になるのですが、不動産取引の場合だけ例外的に、買主は代金を支払わなくてはならい、とされているのです。
- 実際に天災や放火等の事由で滅失する事は稀ですが、そうなった場合の買主の負担は… 家は手に入らずに、さらに代金を支払いでは、泣きっ面に蜂! 法律的には「危険負担について当事者間で特約をすることが出来る」ともなっており、一般的には、「天災等で引き渡し前に建物が滅失した場合には買主は代金を支払わなくても良い」という特約が付される事が多いと思いますが… この特約が付いていなければ、万が一にも天災等の建物滅失時には代金支払い義務を負うことになりますので、不動産を購入される時は、必ずこの特約について確認して下さい。
「瑕疵担保責任」
- 売買した不動産(土地や建物)に隠れた瑕疵があった場合、買主は、瑕疵を知った時から1年以内に、①損害賠償請求が出来る、②瑕疵のために契約の目的を達成することが出来ない場合は契約を解除できる となっています。
- “隠れた瑕疵” 一般的な注意をしていても気付かない瑕疵を言います。
- 品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、新築住宅の売り主には、10年間の瑕疵担保責任が課せられています。⇒ 対象範囲は大きく、基礎部分(シロアリの害等)と雨漏りの2つ。
「請負(うけおい)」
- “請負(うけおい)”とは、請負人が仕事を完成させ、注文者がその仕事に対して報酬を支払う契約のことです。⇒ 一般的に注文住宅の建築依頼は請負契約になると思われます。
- 請負において、請負人(工務店)は完成した目的物(建物)を引き渡す義務が、注文者には報酬支払い義務が生じます。この引き渡しと報酬の支払いは、“同時履行の関係”にあります。⇒ 請負人は注文者が報酬を支払わなければ目的物の引き渡しを拒むことが出来ます。逆に注文者は請負人が目的物を引き渡さなければ、報酬の支払いを拒むことが出来ます。
「請負人の担保責任」
目的物(建物)に瑕疵がある場合に、注文者が請負人に対して請求できる内容です。
- 瑕疵補修の請求:相当の期間を定めて「瑕疵を補修して」と請求することが出来ます。⇒ 但し瑕疵が重要でなく、その補修に多額の費用がかかる時は瑕疵の修補を請求できない…となっています。
- 損害賠償の請求:「瑕疵修補の請求に代えて」または「瑕疵修補の請求と共に」損害賠償請求が出来ます。
- 契約の解除:瑕疵のため契約の目的を達成できない場合は契約を解除できる ⇒ 但し、「建物等の工作物については契約を解除できない。」となっているようです(完成した建物を取り壊すのは非常に不経済だから…?」
「税金:不動産取得時にかかる税金」
不動産取得時には、①不動産取得税、②登録免許税、③印紙税 が掛かります。
①不動産取得税は、宅地、建物それぞれに掛かります。算出方法も異なり、さらに年度により特例等により算出方法が変わりますので、最新の情報を得るようにして下さい。
②登録免許税:不動産の登記を受けるときに掛かる税金です。評価額に税率を乗じて算出されます。これも特例が適用される要件等があり、最新の情報を得るようにして下さい。
③印紙税:契約書、領収書等に貼付する印紙代のことです。一般的に請負側(工務店)が購入し貼付、注文者が直接印紙を購入することはありませんが、間接的に支払っていることとなります。
「税金:不動産を保有しているとかかる税金」
不動産を保有している間は、毎年、固定資産税が掛かります。賦課期日(1月1日)時点に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者が納税義務者となります。
固定資産税:固定資産税評価額×1.4% ← 標準税率 市町村により異なる場合有り
税額軽減の特例:新築住宅の場合で、一定の条件を満たしている場合、新築後5年間または3年間、120m2までの部分について税額が1/2に軽減される。⇒ 4年目から固定資産税が増えて驚く!
(一定の要件:床面積が50m2~280m2以下)
(5年間または3年間:耐火造・準耐火造の中高層住宅の場合は5年間、以外は3年間)
※ 税金は本当に分かり難いですね…
「建ぺい率・容積率」
- 建ぺい率=建築面積/敷地面積 のことです。敷地面積に占める建物が建っている部分の面積です。
- 建ぺい率が100% ⇒ 敷地に隙間なく建物が建っている状態
- 建ぺい率が50% ⇒ 敷地面積の半分が建物が建っている面積(庭と建物が半々)
- 容積率=延べ面積(各階の面積の合計)/敷地面積 のことです。
- 平屋の場合は、建ぺい率≒容積率となります。
- 2階建て、3階建てと階数が多くなると、容積率は増えます。
- この建ぺい率、容積率については、家を建てる土地によって基準が異なります。通常であれば、あまり気にしなくてよい数字ですが、比較的狭い土地に大きな家を建てる場合等は、建ぺい率、容積率が増える傾向にあり、基準に抵触する場合がありますのでご留意ください。通常は工務店の方が事前に調べて、基準範囲内に収まっているか確認するはずです。
「日照権」
日照権とは“建物の日当たりを確保する権利”のこと。現実には、“日照権”そのものは法律で定められてなく、それを保護するために、いくつかの法律を基に規制されています。
日照権に関わる法律には、建築基準法で定められている“斜線制限”と“日影規制”の2つがあります。
「日影規制(にちえいきせい)」
- 日影規制:建築物の高さの制限の1つで、北側(隣地の南側)の敷地の日当たりを確保するための制限です。
- (冬至日の8時~16時(北海道は9時~15時)の間において、敷地外(隣地敷地等)の一定範囲に一定時間以上の日影を生じさせてはならないという規制)
- 家の新築時には、工務店の方で確認する規制と思われ、あまり気にする必要は無いのですが、北側隣地の建物との距離が狭小の場合、一部屋根の形を変更せざるを得ない場合等はあるようです。
「斜線規制」
斜線制限:建物と建物の間の空間を確保し、道路や隣地の日照・採光・通風を妨げないために、建築物の高さが制限されること。
斜線制限:「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」の3つの斜線制限が存在します。
- 「道路斜線制限」:接している道路の幅に基づき、道路を挟んだ反対側の建物の日照などを確保するための制限。道路の反対側の境界線から上空に向かって一定勾配で引いた斜線より下に建物を建てる必要がある。
- 「隣地斜線制限」:隣地に面した建物部分の高さが20mもしくは31mを超える部分についての制限(主にマンションやオフィスビルが建つような場合に規制を受ける。)
- 「北側斜線制限」:北側隣地の採光や通風を確保するための制限。北側の隣地の境界線もしくは北側に道路がある場合はその道路の反対側の道路と敷地の境界線から計測される。
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